丈夫な苗を水耕栽培で作ります
丈夫な苗を水耕栽培で作ります
初夏の季節になり、植物が成長するのに最適の時期です。庭の畑やベランダのプランターでも太陽が当たるところなら、どんどん野菜やハーブが育ってくれます。
少し遅くなりましたがリビングファーム実験室ではミニトマトの苗を作っています。
今年は特に甘味のあるミニトマトを作りたいと思い(孫の為)、ミニトマトの品種も甘味の多い
シュガーテールという品種を選びました。



種から育苗容器で育てた苗は水耕栽培で育てたり、庭の小さな畑に定植して育てていきます。
このようにして水耕栽培で育てると丈夫な苗だけを選んで定植することができ、失敗がありません。
そして好きな品種の種を選ぶことが出来ます。
そこで種から苗作りを水耕栽培でするやり方を紹介します。
種はホームセンターやお花屋さんで育てたい種を購入します。
ただ野菜の種類や種によっては水耕栽培むいてないのもありますので、リビングファームの『こんな野菜が育ちます』を参考にしてください。
https://www.living-farm.com/category/1313485.html
そして準備するものはリビングファームの
[ウレタン発泡培地]
種を植えるところはウレタン発泡培地です。
まずウレタン培地をしっかりと水に浸します



リビングファームのウレタン培地はH型のスリット(スキマ)がもうけています。
大きい種は1つだけH型の真ん中の1cmぐらいの深さに植えます。
小さな種はH型の両端と真ん中の3箇所に上から6〜8mmぐらいの深さに植えてあげます。
培地の素材はウレタンを発泡させており、種から出てきた根がスムーズに伸びていけるような発泡状態です。
[タネが発芽する必要な3つの条件]
一つは水です、タネの内部に水が浸透することで発芽する酵素が出てきます。
二つ目は温度です、ほとんどのタネは15〜20℃が適温です。
寒い冬は発芽しませんし、夏の暑いときも発芽が止まることもあります。
全て植物の自己防衛機能でしょう。
三つ目は空気(酸素)です。
堅い土の中や水の中ではなかなか発芽しません。
ウレタン培地は沢山の気泡部分がありますので酸素は供給させるようです。
[タネの発芽する仕組みは]
まず水を吸った種の胚(芽や根の原型)から出るジベレリンという植物ホルモンが胚乳や子葉の部分を刺激してブドウ糖などを合成します。
そのエネルギーをもらって芽や根が形作られそしてどんどん芽や根が成長していきます。そして芽は上に、根は下に伸びて行きますが、これは地球の重力を感じているようです。
[培地へ種植えする手順は]
まず発泡培地にしっかりと水を湿らせます。
湿った培地にタネを植えてから、育苗トレイの上に置きます。


リビングファームが開発した育苗トレイは置かれる培地の下が2cmほど空間を設けています。
培地から伸びてくる根が真っ直ぐと抵抗なく伸びていくことが出来ます。

14個のウレタン培地を並べた育苗トレイを育苗容器に入れ、上からしっかりと水を差します。
水は育苗トレイが浸かるところまで入れます。
この水には肥料は入れません。
この水やりは重要で、タネが水にしっかりと触れないと発芽作用が起きません。

またその後、ウレタン培地が乾燥して水不足になりますと、途中で発芽が止まってしまいます。
そのために水やり後は透明なラップで水が蒸発しないように被います。
[種の発芽のはじまり]
さらにタネによっては発芽するときに光を必要とする植物種と暗いところで発芽するものがあります。
そのため念のため、透明ラップを被ってから黒いビニールで一日ぐらい被せてあげます。

植物のタネによって光があると発芽が促進されるタネを光発芽種子といいレタス類はそれです。
又植物のタネによっては光があると発芽が抑制されるものを暗発芽種子といいトマト類がそれです。
二日目以降は明るいところに置き、培地のスキマから発芽するのを待ちます。
発芽が早い植物はリーフレタスの1部やミニトマト、バジル、ケール、レモンバームなどで、発芽が遅い植物はパセリ、イタリアンパセリやアイスプラントです。
リビングファームで実験した平均発芽日数は下記のようです。
温度は15〜25度Cの環境です。
尚リビングファームでは発芽はウレタン培地のスキマから芽が出たことを差します。
本来はタネが殻を破って根がでて芽が出たときが発芽といいますが、ウレタン培地のスキマをのぞくとその現象が見られます。
リーフレタス類は約3〜5日 マザーグリーン、マザーレッド、グリーンウエッブは発芽率高い
パセリ、イタリアンパセリ 10〜15日 (ともに発芽するまで日数が掛かります)
バジル 5〜8日、 ルッコラ 5〜8日、エンダイブ 5〜8日
アイスプラント 10〜15日以上(発芽率もあまり良くない)
ケール 3〜5日(大変発芽が早い)
パクチー 4〜6日 (パクチーのタネは堅い殻に囲まれていますので、必ずタネを軽く
ハンマーでたたいて割ってから2つの種を植えます)
ハーブのレモンバーム 3〜5日です、芽の成長が遅いです。
ペパーミントは10~15日(タネが小さく芽も小さいので、管理が難しいです)
ミニトマト 3〜5日ぐらいです。
[太陽光やLEDの光を当てる]
発芽を見たら直ぐに光を当てます。
日中は太陽の光が当たるところに置き、夜間はLED、蛍光灯の光を当てます。


リビングファームのLED360,600をご使用の場合は1日16時間ほど当てることで充分です、なるべくLEDの光に近づけて置きます。
[徒長現象]この光の当て方が不十分ですと、茎だけが伸びる徒長現象が起きます。
いわゆるモヤシのように茎だけが伸びてしまう現象です。
この徒長がひどすぎる場合は、再度タネまきから始めてください。

[苗に液肥を与えます]
培地から子葉が出てから、本葉が出始めます。
それまではタネの胚乳や子葉から栄養をもらって成長しますので、肥料は与えません。
本葉が出始める頃からは根も長くなっていますので、液体肥料(ベジタブルライフA)を与えます。
ベジタブルライフAはOATアグリオ株式会社(大塚製薬の子会社)が水耕栽培専用に開発した
一液で全ての栄養素(チッソ、リン酸、カリと微量元素)が入っている最適な家庭用液肥です。
育苗容器の液体肥料の入った水(液肥)は150倍ぐらいに薄めます。
育苗容器の3分の1ぐらいの水(250cc)にはキャップ0.8杯ぐらいを入れます。
本葉は大きくなるにつれ、日中は太陽光の当たる場所に置き、夜間はLED、蛍光スタンドの下で育てます。
蛍光灯の光は植物育成には意外とむいています。それは蛍光灯には赤外線、紫外線が含まれており、LEDより太陽光に近いからです。
リビングファームの実験でも苗作りには家庭用蛍光灯スタンドを使っています。
ただ電力はLEDより多く消費しますが。
培地から芽が1っ以上出てきた時は、芽を摘んで摘心します。基本的には1つの培地には1つの苗を育てるのが良いです。
[苗を定植する時期]
培地から本葉が1〜2cm(リーフレタスの場合)、根が5〜8cmぐらいに伸びてきたら定植の時期です。
ミニトマトは2〜5cmぐらいになったら定植します



パクチーの定植



種を植えてから12〜15日ぐらい(季節により異なります)パセリ、イタリアンパセリはもっと小さい時期にでも定植できます。
[水耕栽培で育てるときの定植の方法]
水耕栽培をそのまま進める方はリビングファームの育成キットを用意します。
育成キットにある育成ポットにハイドロボール大を下に敷き、培地から長く伸びた根を育成ポットの下のスキマから出します。


培地の高さ、位置を調整しながら周辺にハイドロボール大を並べていきます。
最後にウレタン培地が隠れるようにハイドロボール小を上から被せます。
育成ボックスには水に液肥を入れて150倍の液肥にし、水位線の一番上まで液肥を満たします。
育成トレイには育成ポットを置き、ハイドロボールの上から充分に液肥を注ぎます。
その後は約3週間ほど、日中は陽の光を充分に与え、夜間はLEDまたは蛍光灯で育てます。
リビングファームのLED360,600で育てる方は1日16時間ほど照射して育てます。
[土耕栽培の定植の方法]
水耕栽培で出来た苗を培地のままプランターや畑の土に植えてあげます。
根が土の中に入るよう、事前に少し深めの穴を設けます。後は培地が隠れるように槌を被せて、上からしっかりと水を差します。

